Zeugnisse
昨日、よく私が行っているロマ・シンティのミュージアムで
講演会があると聴いたので行ってきました。
ロマ・シンティとは、いわゆる「ジプシー」の人です。
マンディによると、ロマはルーマニア地方からの、
シンティは少し高貴なイメージが付くそうです。
ちなみにジプシーや、ツィゴイナー(ツィゴイネルヴァイセンの)という
言葉はヨーロッパでは差別語にあたります。
最近だと毎日新聞が「ロマ族」という言葉を使っていて
「ついに日本でも『ロマ』という言葉が!」と感動しました。
ユダヤ人だけでなく、古くからヨーロッパに居住していた
ロマ・シンティの人々もナチスによって多数殺害されました。
ユダヤ人と異なり90年代まで迫害の事実が明らかにならなかったこと、
生き残りがほとんどいないことから、ヨーロッパでも
周知度が低いロマ・シンティの虐殺・迫害について
このミュージアムは、世界的な拠点となっています。
今年2010年は、ロマ・シンティの
強制収容所移送が始まってからちょうど70年。
2月、最初に輸送されたロマ族2500人の中には、
ハイデルベルクに居住していた99人が含まれていました。
ユダヤ人に対しては、1940年10月22日の早朝、
ゲシュタポが移動命令を出し364人が午後6時15分に
ハイデルベルクを出発しています。
70周年の催しとして、9月から来年1月まで
そのロマミュージアムを拠点に様々な講演が開かれています。
今日はアウシュヴィッツに収容されながらも生還した
ワルシャワ在住、Kasmierz Albinさんのお話。
彼が4年生だった39年、2週間の水泳合宿から帰ってくると
故郷のクラカオ(ポーランド)はドイツに占領されており、
学校は閉鎖され(機械の専門学校だけは労働力の観点から残された)
友人を頼って、2歳年上の兄とフランスを目指します。
しかし、道中のスロヴァキアで警察に見つかり、
刑務所に入れられることに。そこは環境が悪く、
食事もままならなかったため、「ドイツで働きたい者はいないか?」
の呼びかけに、全員が喜んで応募したそうです。
労働がいくらきついといえども、
今の自分たちの悲惨な現状よりも、ましに違いない…
そう信じた囚人たちを乗せた電車はひたすら西に向かいます。
電車は、途中、クラカオに停車したものの、
刑務所で疲弊した身体には、家族に会いに行く力は残っていませんでした。
ただ、電車から見た聖マリー教会の、なんと美しかったこと。
電車は再び出発し、さらに西へと進みました。
「ドイツに着いたぞ」そういわれて車窓を覘くと
そこにはゴシック体で「アウシュヴィッツ」と書いてあるのです。
"Dort gab es gar nichts schoen."
「そこには美しいものなんか、何一つなかった…」
到着後10日間は、昼の休憩1時間を残し
ひたすら「スポーツ」と称し、うさぎ跳びをさせられる。
目にした「Arbeit macht frei」が嘘であることに
気付くには、それほど時間はかかりませんでした。
これは、目的のある仕事などではなく、死への労働だということ…
ただし最初の到着者として、そしてドイツ語がで出来たということで
彼は比較的豊かな食事が出来るようになります。
さらには比較的楽な、SSの台所での労働に従事しているとき
仲間と共謀し、盗み出した制服でセスナ機を操縦し
見事脱出に成功することに。1943年2月のことでした。
その後彼はクラカオに戻り、レジスタンスとして戦ったそうです。
詳しくはよく聞き取れなかったし、話もところどころだったけれど
(結局兄や家族がどうなったのか語らず。)
アウシュヴィッツで想像する話とは、少し違った気がする。
というのも当然で、あの場にいた数万人は
数万人の物語と視点とを持ち、さらに本当に弱いものは
生き残らなかったのだから…。
ただいかに収容者たちが自分達を組織化していたか、
情報を上手く仕入れていたか、に驚きます。
講演会に先駆けての特別展示(パネル)は、なにやら見覚えのある
字体&色。どこで…?と思えば、時刻表その他。
それもそのはず、ドイツ鉄道が支援している(よう)でした。
「はじめに」には、「私たちが強制輸送に際してナチに
協力していなければ、これほど多くの犠牲を出さずに済んだ」と
書いてあり、こういう企業や個人の側の戦争責任の意識を
日本が持っているか、疑問に感じました。
今日は、ついにギュンター・グラスが近郊都市にやってくる日。
反ナチとして、ノーベル文学賞まで受賞した彼が
ナチに参加していたという告白は本当にショッキングであったけれど、
今日会ったドイツ人の同い年の友達によれば
「ドイツ人は、中学校で必ずグラスを読まなければならない」
と言っていたので、私たちの比ではない衝撃だったのだと思います。
彼と会えるだろうことは、明日がきっとラストチャンス。
時代を生き、時代を生み出した彼の息遣いを
きっちり感じてこようと思います。といいながらも
昨日夜遅くに、前売り券制であることを知る…。
夜明けが来たらさっそく電話をしてみようと思います。
チケットがあること、祈っていてくださいね!
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